こんにちは、ゆきひろです。
僕は企業の動画制作をずっとやってきていた訳ですが、去年から一部のクライアントの仕事を除いて、個人向けの仕事にシフトしていっています。
BtoBビジネスからBtoCビジネスへシフトしたのです。
なぜそういった転換をすることになったのか、その辺りの心境の変化を書いていこうと思ってます。

◎理由 企業VP制作をやっていては価格競争に巻き込まれて10年後は生き残れないと感じたから。

自分はインターネット動画制作をメインに行う動画制作会社を経営していますが、正直インターネットでの動画市場はこれからも順調に伸びていくので、ここ数年は黙っていても仕事に困ることはないと思っております。しかしその先はどうかというと、次第に2極化していくと思ってます。
2極化とは、ハイクオリティでグローバルな動画コンテンツを作る人たちと、小さなコミュニティで受け入れられるニッチでローカルなコンテンツを作る人たちに分けられていくということです。
なぜかというと、機材の性能が上がり、誰でも映像制作ができる時代がもうそこまで来ているからです。
中小企業は、自社メディアを持つことが当たり前になってきていて、社内に映像クリエイターを育成する内製化が進んでいます。
つまり、既存にいる映像クリエイターたちの生き残る道としては、より高価な機材を扱えるようにして、ハイクオリティ路線にいくか、文化や価値観が合うコミュニティに貢献するコンテンツを作るしかないとみています。
例えば自分が中小企業の社長であれば、超ハイクオリティな動画は予算が合わずに作れませんから、必然的に自社の商品やそれを欲している顧客のことをよく理解しているクリエイターに頼みたいと思うでしょう。そしてそういったクリエイターを見つけられなかったら、自社で作るか安価なクリエイターに発注するのです。
だから何も行動しないでいると、次第に価格競争に巻き込まれていきます。

◎ハイクオリティ路線を目指した場合

ハイクオリティでグローバルな動画コンテンツは、大企業がお金をかけてマス向けに作っていく映像になります。
ここは多くのプロフェッショナルが日々切磋琢磨して作品作りをしていくので、必然的に専門性の高い人たちがそこに特化して仕事を進めていきます。動画制作業界では花形と言えるポジションだと思います。
僕はテレビや映画などで、こういった現場もかなり経験してきましたが、正直魅力を感じていません。なぜなら忙しいからです。そしてクライアントが見えないから。
日々の制作に忙殺されて、自分が本当にその仕事をやりたいと思っているのか考える間もなく、どんどん仕事をやっていきます。
売れっ子になればなるほど、仕事は来ますから、仕事人間の出来上がりです。そうなってしまうと、本当に自分がやりたい仕事ではなく、人から頼まれた仕事のみをすることになります。超一流の方であれば、そういった仕事の中から自分のやりたい仕事を選んで、それだけやることもできるのかもしれませんが、ほとんどの人は、来た仕事をやることになります。大きな仕事であればあるほど、様々な人の思惑やクライアントの希望などもあるので、大体自分の好きなように作ることはできません。例え監督という立場でも、自分の好きな題材で制作できることは稀でしょう。
多人数での制作が前提条件なので、自分都合ではなく、制作スケジュール都合での動きを強要されます。
そして、これが一番問題なのですが、大半のクリエイターは制作物が何の目的で使用されるのか本当の意味で理解していないです。
クリエイターから見れば、制作を依頼してくれた方はクライアントとなりますが、その制作物はクライアントのお客さんに向けて使われることになります。
例えば脱毛を売っている会社がクライアントであれば、制作物は脱毛したい人に向けて制作されます。でも制作者であるクリエイターは、特に脱毛を勧めたいワケではないですよね?お金をもらう代わりに脱毛は興味ないけど、制作したりするわけです。
それがプロだろ、と言われればそれまでですが、そういう制作が長く続いてくると、自分はなんのために映像を作っているのか分からなくなるのです。

◎自分のいるコミュニティと目の前の人のために制作する動画メディアクリエイターとしてのポジション。

ハイクオリティ路線に疲れてしまった僕が取ったのがコミュニティ路線です。こちらの路線は、自分の好きなコミュニティのための仕事をすることになるので、興味のある仕事が多いです。そして規模も比較的小さい仕事が多いので、クライアントと蜜にコミュニケーションを取れます。
制作に関わる人数も少なくて済みますので、自分都合でスケジュールを立てることが可能です。
好きなコミュニティの仕事なので、お客さんの気持ちも手に取るようにわかりますから、ニッチですが、胸に刺さる動画制作が可能になると思っています。
興味のない業界でマスに向けての動画作りより、手触り感があり、価値観が合う人たちとのダイレクトな仕事のほうが僕は好きです。
そして、そういった分野であれば、マス媒体で発信している人では絶対にできないようなオリジナルな動画制作が可能になりますし、機材はどんどん良くなりますから、マス広告でお金をかけて作ったものと遜色ないものも作り出せると思ってます。
そしてこのコミュニティ市場でしっかりと自分のポジションを確立し、ハイクオリティ路線よりも大きな利益を生み出していくには、クリエイターが自分の好きなことや、やりたいことを発信する「動画メディア」運営が必須になってくるでしょう。
例えば自分のライフスタイルを発信することで、同じようなライフスタイルを持っている人と繋がりやすくなりますし、メディアの力が強くなっていくと、そのまま企業のスポンサーを得て、メディアの読者向けに発信する仕事も得ていけます。
メディア運営を通じて広告収入も得ていけますし、何より自分の資産となるので、単発の受託仕事をこなしていくより、資産形成していきやすいです。
動画メディアを運営していくことで、自分で仕事を創っていくことが可能になり、いきなり仕事がなくなるようなことにもなりません。
好きな時に好きな場所で過ごせるようになりますし、時間が有意義に使えるので、僕は日々、映像やマーケティングの勉強をしています。
よく、制作会社をやめてフリーランスになるとスキルがメキメキアップすると言われますが、フリーランスの受託仕事をやめて動画メディア運営をはじめると、もっと圧倒的にレベルアップできます。
なぜなら自分の視聴者のために日々考えて、コンテンツを作っていくので、勉強とアウトプットの連続だからです。仕事は自分で創るので、「勉強になるから」とか「将来役にたつ」といった曖昧な理由で自分を奮い立たせてやる受託仕事より数百倍効率よく知識を吸収し、自分の目指すべき映像ビジュアルを得ることが可能になります。
自分もまだ始めたばかりなのですが、構想は数年前からしていました。なぜもっと早く始めなかったのかと後悔しています。でも当時の自分は、目の前の仕事に追われてしまって、そんなことを考える余裕もありませんでした。
だからこそ、この記事を読んだクリエイターの皆さんには、今一度立ち止まって、自分がこれからどこを目指して進んでいるのか、考えてほしいと思っています。
僕はずっと前から、クライアントや広告代理店が優位に立つ業界構造は間違っていると感じておりました。
そんなことをいうと反感を買うと思いますが、僕は作り手が一番だと思ってます。
そして、代理店ではなく、映像の作り手が世の中を創っていく、大きな手段が「動画メディア」だと信じています。
動画クリエイターはもっと自分のことを発信したほうが良いです。もっと素直に、好きなことを映像を通じて叫びましょう。映像業界は長らくクリエイターを思考停止させてきました。クライアントや代理店がその能力を使うために、クリエイターの趣味思考は横に置いて、クライアントのお客さんのために制作をさせてきました。
クリエイターは自分の時間を削って、クライアントのお客さんのことを考えて、試行錯誤してきました。
でも、もういい加減、自分の気持ちを映像で語っても良いのではないでしょうか?自分の本当の気持ちをカメラの後ろでごにょにょ言わないで、自分に素直になって、わがままになって。
これからは映像クリエイターの時代です。個人メディアの時代が来ます。
映像を作れるアドバンテージを持っているわけですから、あとは自分の気持ちを蘇らせてください。
僕はそんな思いを持って、自分のメディアを育てています。